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2015月3月11日更新

実はいい加減!?企業が定める「求める人物像」のナゾ

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Q. 企業は就活生にむけて「求める人物像」を打ち出していますが、その企業を受ける場合は自分をその「求める人物像」にできるだけ近づけた方がよいのでしょうか?(大学3年生)






皆さん、こんにちは。常見陽平です。


先日、立命館大学産業社会学部で講演しました。


学部のイベントだったのですが、他学部生、教職員、あわせて200名くらいが参加。感激です。


終わった後の産業社会学部の先生+運営に関わった学生さんとの飲みもエキサイティングでした。社会学者の卵として勉強になる話ばかりでした。


講演の際に学生さんから、こんな質問を頂きました。


「企業の"求める人物像"に自分を合わせた方がいいのですか?求める人物像と合っていない場合、どうすればいいのでしょうか?」


きました。
毎年、就活生が悩むことの一つですね。


今回はこの「求める人物像」の謎について考えてみましょう。


企業が求める人物像の謎




「求める人物像」とは何か?



答えをすぐ知りたいことかと思いますが、その前に、「求める人物像」とは何か、どういう風に決まるのかについてお伝えしましょう。


「求める人物像」とは、文字通り、企業がどんな人に応募してきて欲しい、どんな人と働きたいかをまとめたものです。


これを策定する際は、採用担当者だけでなく、経営者や、管理職を始めとする社員へのヒアリングを行い、まとめていきます。
また、ハイパフォーマー分析と言って、その企業で活躍している社員を分析したり、彼らにヒアリングしたりもします。


その他、企業の方向性、現在の社内の状況、取り巻く環境の変化なども影響します。
これらの議論や分析を経て、「求める人物像」はまとめられていきます。
求められる能力、資質を決めた上で、言語化していきます(言語化してから、能力、資質を分解するやり方もあります)。


...と、ここまで(いや、もっと深く)、毎年議論し、決めている企業もあれば、なんとなくという企業や、毎年あまり変わらないという企業もあります。


「求める人物像」の意味と、まとめられるプロセスはこのようになっています。




「求める人物像」は「採用基準」とは限らない



さて、この求める人物像ですが...。


学生向けに打ち出される「求める人物像」と、「採用基準」はイコールではないのですね...。


もちろん、学生向けに打ち出される「求める人物像」にも意味はあります。
どんな能力、資質を持った人材を欲しいのかを打ち出したものですからね。
向いている人、逆に向かない人は、なんとなく分かるようになっています。


ただ、そもそも論でこれ、各社とも似ているのですよね。
採用担当者をしていた頃、人気企業ランキングで上位にランクインしている企業の「求める人物像」を比較してみたのですが、出てくるキーワードは実に似通っていました。


もちろん、読み込むとニュアンスの違いに気づきますし、根底にある大事にしている価値観なども感じられるのですけどね。


これと、「採用基準」はイコールではないのですよね。
「採用基準」はより細かくなっていたり、逆にアナログだったりします。
学生向けに打ち出される「求める人物像」だけをもとに評価シートが作られているわけではありません。


実際は、絶対にNGな要素、必ず持っていて欲しい力、できれば持っていて欲しい力などに分かれて定義されているものです。


これらがちゃんと定義されておらず、面接官が「一緒に働きたいと思うかどうか」だけが基準の会社も。


中には、定義されていても、それが運用上、踏み倒されているケースもありますよ。


やや別の切り口ですけど、学生に絶対伝えない項目として「今年のターゲット校はここにしたい」「この学部・学科からの採用を強化したい」「営業職の候補を◯人は採りたい」「できれば男性を多めで...」などの裏テーマもあるわけで。


これもある意味、採用基準であり...。これはオープンにならないですよね。


このように、「求める人物像」=「採用基準」というわけではないのです。




「求める人物像」通りの人は、来ないという悩み



採用広告に記載される「求める人物像」は、応募者をそそらせるものでもあります。
どういうことでしょうか?


ここで、意識の高い系の言葉を並べることにより、「求める人物像」と言いつつ、「働きがい」「やりがい」を伝え、求職者の応募したい欲求を喚起するわけです。


一方で、ハードルともなり得ます。
こういう能力、資質を持っていない方には厳しいですよと伝える意味もあるわけです。


さて...。
ここで、素朴な疑問がわくことでしょう。


ずばり、「求める人物像」通りの人は応募してくるのか、と。


結論から言うと、かなりの人気企業でも、これにぴったり当てはまる人ばかりが応募してくるわけではありません。
「求める人物像」通りの人が応募してきたところで、前述したように、採用基準とはズレますし、運用がいい加減な場合もあるので、必ず内定が出るわけではありません。
さらに言うならば、内定を出したところで逃げられますからね。


というわけで、企業は「求める人物像」通りの人を採用できているわけでもないですし、彼らが応募してきているわけでもないのです。




「求める人物像」に合っていなくても、内定は可能



ここで、元々の質問に戻りますかね。
「求める人物像」に自分を合わせることがいいことなのでしょうか。
悩ましいですね。
面接官の見極める力にももちろんよるのですが...。


まず、演技したところで、バレてしまいます。
人の顔を見て話すのも辛そうなのに、「コ、コミュニケーション抜群です...」と棒読みする学生を何度も見てきました(実話です...)。


まあ、応募するまでに期間がある場合、求められる「能力」を高めるために努力するのはまだいいですけどね。


ただ人間、変わることのできる部分とできない部分があるのです。


合わない会社に合わせたところで、もし内定が出ても、入った後に辛いですよ。


そういえば、人気企業の人事担当者からこんな話を聞きました。
選考で落ちてしまった学生から、熱いメールがきて「なぜ、落ちたのでしょうか?もし、自分が貴社に合わないというのなら、合わせてみせます」という内容だったとか。
人間、そんなに簡単に変われるのでしょうか?
そして、そんなに簡単に変えてしまう自分の人柄ってなんなのでしょうと思ってしまいました。


前述したように、「求める人物像」=「採用基準」というわけではないですし、「求める人材」がそもそも揃わない会社もあるわけで。


その基準とはズレていても、この人は欲しいと思ったら内定は出すものです。
組織を活性化するために、また人材の多様性を実現するために、毎年5%〜20%くらいはその採用基準には当てはまらないような、異質な人材にも内定を出す企業も。


というわけで、「求める人物像」に合ってなくても、内定は出るということも覚えておいてください。




「求める人物像」は自分で確かめる



ここで、就活生の方へのアドバイスなのですが...。
企業が掲げる「求める人物像」を鵜呑みにしてはいけません。
他社と同じようなことがうたわれていたり、「そんな人、いるのか?」というレベルまで高くなっていたり、採用基準とずれていたり、実にいい加減です。


「求める人物像」を確かめるのに一番いい方法は社員と会うこと、社員を分析することです。
社員と会ってみて感じたこと、社員の共通項などを分析すると参考になります。


また、社員に「御社で優秀だと言われる方は、どんな方ですか?」と聞いてみるといいでしょう。


求める人材については、現在求めている人材の他、これから必要な人材もいますよね。
率直に、「これからはどんな人材は必要ですか?」と聞いてみる、IRレポートなどから今後の方向性を探ってみるなどするのも有効ではあります。


採用広告を鵜呑みにしてはいけません。


ビジネスマン タブレットコンピューター





「求める人物像」よりも「採用実績」を



さて、この「求める人物像」をめぐる件、日本の新卒採用の問題点としていつもとりあげられます。
曖昧で、わかりにくいのではないかと。


いい加減な言葉ではなく、より具体的な言葉や、能力の名前で定義するなどの取り組みが今後、必要だと指摘されています。


実際、いくつかの企業では、かなり明確なスキル名まで打ち出しています。


それも結構なことなのですが、ここの部分の透明化は限界があると感じています。
企業の表現力の問題もありますが、オープンにできない部分はやはりあるでしょう。


それよりも、まずは採用実績の透明化が必要だと感じています。


どんな大学出身のどんな人を何人とったのか、です。


もちろん、能力、性格に関することは表現しづらいでしょうけどね。


就活は、常識、前提を疑ってみることが大事です。
この健全な批判精神は、本来学問で培われるものなのですけどね。


先日の立命館大学での講演アンケートを読んでみても、その視点が足りなかったという声が多数でした。


自分の眼でみて、自分の頭で考えるくせをつけましょう。


(常見陽平:プロフィール


※この記事は就活生を応援する「就活の栞」に掲載されたものです。

2015年3月11日

written

by yohei-tsunemi


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